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訃報

 


1月4日、新年から塾の授業に追われてる私に一つの通知が来た。

 


アバンティーズ エイジ 死去」

 


ツイッターの通知でこんなに驚いて震えたことは初めてだった。

 


アバンティーズ、は4人で活動してるYouTuberで、私は特別ファンというわけではなかった。

 


というか、YouTube自体そんなに見ているわけではなかった。

 


ただその中で一番見ていた、私の中のYouTuberは『アバンティーズ』だった。

 


私がアバンティーズを見ていたのはその悲しい知らせの1年半ほど前。

 


彼らの家が新しくなり動画のデザインが新しくなった時。プールを家の中に作ってた時。

 


初めて見た動画はなんだったのか、好きになった理由はなんだったのかは忘れたけれど、

 


アバンティーズのメンバーが大好きでデザインが大好きで企画も大好きだった。

 

HELLO!NEW AVNTIS の動画が本当に大好きで、何十回も、多分百回ぐらい見た。 


私が動画を見ていた時に一番記憶に残っていた動画は有名YouTuberからお年玉をもらう動画だった。

 


私はもともとあまりYouTubeを見ていなかったが、その少し前の一時期ワタナベマホトの動画を見ていたことがあった。

 


その時にそらちぃがマホトの動画に出ていて、それまで私が知ってるアバンティーズはそらちぃで、そらちぃのことはすごく印象に残ってたし、アバンティーズといえばそらちぃ、だった。

 


でもアバンティーズの動画を見始めていちばん私の目を奪い、存在感を表し、そして惹かれたのは彼、エイジだった。

 


画像で見た時やたまたま目にした時とは違う、アバンティーズの動画の中の彼は輝いていた。

 


私は、YouTuberは芸能人よりも近い位置に感じられてその人となりが見られる仕事だと思っている。

 


彼らのプライベートと仕事は切り離されてるようでプライベートが仕事、それがYouTuberだと思っていた。

 


だから、アバンティーズの動画を見ていると彼ら自身のことを勝手に知った気になっていたし、彼らの人となりを知れた気がした。

 


私のエイジへの印象は、頭が良くて、結構上手いことやれるけどたまにダサくて、面白くて、どこかかっこいい。そして周りを愛していて周りに愛されている。そんな印象だった。

 


私はもうひとつ見てるYouTuberがいたが、そのYouTuberと違うなと思ったのは、アバンティーズは本当に周りから愛されてるグループだった。そしてその中心にエイジがいた。

 


彼には人を惹きつける魅力があった。

 


私はアイドルを応援しているのだが、YouTuberに対してアイドルのようにキャーキャー応援するのは如何なものかと思ってきたけれど、

 


改めてよく見てみると彼らにはそれほどの魅力があったのだなと思える。

 


彼が遺したものは大きかった。

 


私は彼の訃報を聞いてから3日後ぐらいに久しぶりにアバンティーズの動画を見ていた。

 


こういった時に昔の動画をわざわざ見る心境がわからない人もいるかも知れない。

 


私も見たら苦しくなることがわかってた。

 


だけど、私は自分の中でのアバンティーズ エイジを殺したくなかった。ずっとずっと自分の中で生きてて欲しかった。

 


彼のことをずっと覚えていたかったから、目に焼き付けるために動画を見始めた。

 


私が見ていなかった1年の間にもたくさんの動画が投稿されていて、見た覚えのある動画もあったけど、初めて見て気づいたら爆笑してしまった動画もあった。

 

 

 

気づいたら笑っていた。

 


特に意識をしてたわけじゃなく、見たら悲しくなるかもと思って見たのに、笑えた。

 


すっごく面白かった。

 


前も友達に「アバンティーズって面白いよ!ねえ面白いから見てみなよ!」って言っていたけれど、改めて見たらもっともっと面白く感じた。

 


そしてふと、動画と動画の間にこのアバンティーズはもう見れないのだなと思い暗くなる。

 

 

 

 

 

 

 


さっきも言ったように、私は普段アイドルを応援している。

 


一度、私が大好きなグループのメンバーのひとりが、精神的な病気で芸能界にも残らず、休止からグループを去ったことがあった。

 


どこかできっと働いて笑ってご飯を食べて誰かと一緒に生きているんだろうけど、

 


私の中での彼女は死んだのだなと思った。

 


アイドルの彼女しか知らない私は、彼女が一般人になってしまったら、会う術も言葉を伝える術もなく、

 


一生会えなくなってしまう。

 

 

もし彼女がこの世からいなくなってしまうことがあっても、それすら知れないかもしれない。

 

 


だから、好きな芸能人が芸能界から去るということは、自分の中でその人が死んでしまう、

 


私とその人が交わることは一生なくなってしまうのだと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 


私は前述したように、アバンティーズのファンというわけではなく、ただ気まぐれにみるいちリスナーにしか過ぎなかった。

 


ツイッターも全員フォローしていたけど、メッセージを送ったこともなかったし、

 


友達にも勧めるもののそんなに話をしたこともなかった。

 


イベントに足を運ぶこともなく、きっとこのことがなくても私の人生は彼らと交わることはなかった。

 


イベントに行って会って話すわけでもなく、SNSでメッセージを送るわけでもなく、

 


ただ楽しむために私が彼らの動画を見ていたというだけの関係。

 


それはきっと私の中で生きていたとは言えなかった。

 


彼らがどこかで生きていても私には知る由もなく、動画は気が向いたら昔のものを遡って見たりするだけで、毎日毎日新しい動画を見ているわけでもなかった。

 


ただ、エイジが亡くなったことを知って、私はこれは違うと思った。

 


これからの私の人生に影響を与えられることはきっとなかったと思う。

 


だけど、ものすごく悲しかったし、あり得なかったし、信じられなかった。

 


自分の毎日の生活の中で彼のことを思い浮かべていた訳ではなかった。

 


でも本当に悲しくて、どこかにいればいい人のはずが、どこにもいなくなったらこんなに悲しくなるものなのかと思った。

 

 

 

私の中で死ぬこととは確実に違うと思った。

 


会えなくても私の人生と交わらなくても、どこかで誰かと笑っていてくれることがとても大切なことなんだなと思った。

 


アバンティーズが私の人生に及ぼした影響は決して大きいものではなかった。

 


けれど、エイジが亡くなったことによって、

 


その後から彼らの動画を見返したことによって、

 


私に与えた影響は確実に大きく、彼を私の中で一生生きさせるものになった。

 


私の中で彼はまだ生きているし、ずっとずっと、忘れたくない存在だ。

 


皮肉なことに彼が亡くなってからアバンティーズのいいところをもっともっと知れた。

 


アバンティーズは素晴らしい。

 


3人がまたアバンティーズとして活動してくれたら、私は必ず応援する。

 


アバンティーズ、を終わらせて欲しくない。

 

 

 

エイジさんへ、あなたにとって私は数回の再生回数しか与えられなかった存在だったけど、あなたの動画には笑わせて貰って、毎日頑張ってました。

 


勝手に身近に感じてたけど、すごく遠い存在なんだなあと今になって感じさせられます。

 


あなたは、あなたが受けていた声援やコメント以上にたくさんの人を笑顔にしてたくさんの人の生活に彩りを添えていました。

 


もうあなたがこの世にいないということは信じられず本当にやるせない気持ちでいっぱいですが、

 


あなたが遺してくれたものをこれからも大切に、あなたの存在を私の中に残していきたいと思います。

 


あなたがいなくなってしまってもあなたの動画は面白いし、いつでも身近に感じられてしまう。

 


あなたが天国でも笑っていることを願って、アバンティーズのいちリスナーとしてわたしもたくさんのことを乗り越えて頑張ります。

 


沢山の笑顔と元気をありがとう。

 


ただのリスナーの1人だけど、あなたのことは絶対に忘れません。

 


エイジさんもこれからも楽しくいて欲しいな。

 


本当にありがとう。

 


ニュースを聞いて今までどうしても信じられなくて、納得がいかなくて言えなかったけど心から思ってます。

 


ご冥福をお祈りします。